用語解説集

圧迫・窒息

SMプレイにおいてはパートナーを責める方法として、マゾヒストの肉体を圧迫することを概して圧迫系プレイといいます。前述の顔面騎乗はもちろん、ラバー製の衣服や拘束衣を用いるなどして、相手の肉体を責め上げ、呼吸を困難にさせる高度なテクニックを要するプレイです。
肉体を用いた圧迫系プレイ
  • 顔面騎乗(フェイスシッティングとも言います)。ただし目的は性器への愛撫ではなく、マゾヒストの顔面を圧迫し呼吸を奪うことにあります。そのため数十秒おきに腰を浮かせ、呼吸の余地を持たせておくことが必要です。

  • 騎乗(シッティング)。マゾヒストの肉体に座ることを指します。体格差にもよるが、胸に全体重をのせて座ればかなりの苦痛が伴います。仰向け、うつぶせどちらでもかまいませんが、仰向けに座る場合は、広げさせたマゾヒストの腕をサディストの足で踏むようにすればなお効果的です。四つんばいにさせて背に座るのは呼吸を苦しくさせないため、別物と認知されているようです。

  • 踏みつけ。寝かせたマゾヒストの上に立つことを指します。バランスをとるのが難しいため裸足で行なうほうがよいでしょう。
器具を用いた圧迫系プレイ
  • 全頭マスクを用いたプレイ。顔にぴったりフィットするラバーマスクで覆われると、呼吸が苦しくなり、同時にラバー臭で満たされるために息苦しさと暑苦しさは相当なものです。呼吸用の穴や隙間が確保されたものをおすすめします。

  • 猿轡を用いたプレイ。口の中にインフレート・ギャグ、もしくはパンプ・ギャグと呼ばれるラバー風船を仕込んだ猿轡をかませ、ポンプで膨らませ、口内を内側から圧迫され鼻でしか呼吸できなくなるとともに、顔が膨らみ苦痛と羞恥を味わうことができます。鼻が詰まっているときには避けましょう。

  • 拘束具を用いた圧迫プレイ。縄や革ベルトで胸を中心に拘束します。また幅広の革ベルト(ストラップ)で腹部をきつく拘束させてから、激しい運動を強要すると拘束により呼吸がしづらい状態となります。ベルトが汗によって濡れたり、金具が引き伸ばされていると即座に外すことが難しいので、手元に切断可能な道具を用意してから行ないましょう。

  • 拘束衣を用いた圧迫プレイ。拘束衣で締め上げるだけでなく、コルセットを着用させることも充分な責めとなります。コルセットをつければ呼吸や食事も難しくなり血圧も上がるため失神しやすくなるとも言われています。コルセット以外では全身用のラバー(もしくはPVC)スーツを着用させます(併用も可)。ラバー、もしくはビニールの圧迫で全身が締め上げられるとともに汗が内部にたまり、首もしくは顔の開口部から蒸れた臭いがたちのぼり心理的にも効果的な責めとなるでしょう。その際、熱中症には注意が必要です。また、同じラバースーツでも2枚重ねになったものを用いて間に空気を入れることで、外側はパンパンに膨らんだ異様な姿、内側は空気により圧迫されるというタイプのスーツもあります。

  • バキュームプレイ。ヨーロッパ・アメリカでマニアが存在するプレイで、ベッドほどのサイズの木枠の間に2枚のビニールシートを挟み、その間にマゾヒストを入れます。掃除機で間の空気を抜くと、はさまれたマゾヒストは全身を強力な2枚のシートに挟まれ、奇妙なオブジェと化します(もちろん呼吸用のパイプをくわえさせることをお忘れなく)。一歩間違えば死亡につながる危険なプレイです。

  • 人間ベッド。ベッドのマットレスを人型にくりぬき、そこに拘束したマゾヒストを入れそのままベッドとして用いる屈辱的なプレイ。心理的な要素がとても強いです。

落ちる
ここで窒息の快楽に耽溺される方々に「落ちる」メカニズムを簡単に説明させていただきます。
頚動脈洞反射(けいどうみゃくどうはんしゃ)とは、頚動脈洞を刺激することによって起こる舌咽神経-迷走神経反射です。喉仏の左右にある頚動脈洞を圧迫しますと、圧受容体が圧上昇を感知し、舌咽神経が延髄孤束核に伝えられ、孤束核から迷走神経背側核に伝えられて迷走神経が過剰な反射を起こし、心臓の洞房結節や房室結節に伝え抑制され、徐脈となり、血圧が低下して、脳幹へ行く血液が少なくなり脳幹での酸素量減少で失神状態に陥ることがあります。 これを、頚動脈洞性失神といいます。発見者の名前をとってツェルマーク・ヘーリング反射ともいわれています。

脈拍が過剰になった時、それを抑えるために利用されることもあり、これらは一般的に頚動脈マッサージといわれています。また、柔道や柔術のような格闘技などの絞め技にも利用され、頚動脈洞反射によって失神した状態を「落ちる」と呼んでいます。

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